理学療法士(昭和大学・目白大学)

リハビリ職で働く&目指す先輩のインタビュー

大学卒業後、夢をかなえリハビリ職の専門家として活躍中の先輩や、現在、リハビリ職を目指して大学で学んでいる在校生にインタビュー。仕事のやりがいや、この進路を選んだ理由、学校選びのポイントなどをうかがいました。 「先輩たち」の生の声を進路選びの参考にしてください

リハビリ職の夢をかなえた社会人インタビュー 理学療法士編

野口 悠先輩

附属病院への入職から臨床教員へとキャリアアップ
大学の組織力が支える医療人への道のり

昭和大学
保健医療学部リハビリテーション学科
理学療法学専攻(2012年3月卒業)
(令和5年より理学療法学科より改組)
昭和大学病院リハビリテーションセンター勤務 野口 悠 先輩

受験直前まで悩み抜いた受験校選びの結果、
たくさんの仲間に恵まれた1年間の寮生活

高校生時代にバレーボール部の活動で怪我をして、自分自身が整形外科に通院することになったのが、理学療法士という仕事を知った最初のきっかけです。その後、祖父が入退院を繰り返すようになり、お見舞いの際に院内でリハビリテーションの様子を見学するようになりました。一言でリハビリテーション職といっても多くの職種がありますが、それらの中でも物理療法などでスポーツの怪我に関わるだけでなく、患者さんの生活再建を直接手助けできる業務だと知り、これから目指すべき将来の仕事として理学療法士を選ぶことになりました。

ただし、現役合格することを最優先して、高3のタイミングまで進学先となる受験校選びに悩み続けていました。理学療法学科を設けている大学をたくさん受験しながらも、最終的に昭和大学を選んだ決め手は、医学部を含む医療に特化した学部で占められており、大規模な附属病院でチーム医療型の実習に参加できるという点でした。

入学直後の1年生は、学部を問わず全員が富士吉田キャンパスで寮生活を送ります。親元を離れて集団生活をした経験がなく、当然不安はありましたが、他学部の生徒が考えていることに興味を持って前向きに取り組んでいました。北海道から沖縄まで、全国各地から医療の道を志ざす仲間が集まってくるキャンパスで、上級生のいない自由な環境を満喫しながら、勉強面で助け合ったり、生活面ではいろんなことを相談させてもらったりするなど、一生の財産となる人間関係を築くことができました。

保健医療学部の2年生は横浜キャンパスに移り、他学部の仲間とは物理的に離れることになりますが、1年間の寮生活で築かれた人間関係は崩れることなく、2年生以降のチーム医療実習で仲間と再会し、さらに有意義な交流が続くようになります。

昭和大学ならではの組織力が大きな強み
教育と医療が結びついた臨床教員制度

附属病院では発症直後で重篤な状態にある急性期の患者さんを受け入れています。私の場合は、先進医療が導入された環境でリハビリテーション全体の流れを経験し、理学療法士としてさらにステップアップしていけると考えて昭和大学病院に入職しました。プロとして現場に立ち、改めて意識することになったのは、一人の患者さんの人生に責任を負うということ、そして私の発言ひとつで患者さんの将来が変わる可能性があるということでした。また、生命に関わる場面に立ち会ったり、先輩のアドバイスから経験を積んだりすることを繰り返してきました。

後輩を指導する機会が増え、病院組織に対して何ができるのかを考えていた頃に臨床教員制度が始まり、人材育成の面で貢献しようと思い立って母校の講師になりました。私自身が講師として授業を受け持っているクラスの学生にとっては、「顔見知った先生が指導してくれる」というだけでもプレッシャーは少なくなるはずです。教育機関と医療機関が組織間連携を取れることが、昭和大学の強みであると言っても過言ではありません。私が昭和大学の学生として在籍していた時代は、実習先が附属病院以外の場合が多く、各現場の状況に合わせて学生自身が適応していかなければいけない苦労がありました。しかし今では、多くの学生が附属病院内で実習するようになっています。また、国家試験対策は個人の努力を中心に勝ち取るといった学習スタイルでしたが、近年は各学部で国家試験対策委員が立ち上げられ、学科の合格率100%を目指してサポートを受けられるようになりました。

理学療法士を目指すなら知っておいてほしい
仕事への心構えと社会貢献に参加する喜び

どんなに経験を積んだプロフェッショナルであっても、大学入学後に学ぶ医療の基礎知識を土台にして臨床現場に活かしています。かくいう私も学習量が多くて苦労した当時をよく覚えていますが、科学的な裏付けとなる知識が身に付いているからこそ、実習では患者さんの症状を見ながら回復過程を評価できるようになります。大規模な病院に勤務すると、医師・看護師はもとより、作業療法士・言語聴覚士など幅広い職種の人たちとチーム医療を進めていくので、自分に課された役割を常に意識することも大切です。このような心構えを伝えると、「大変そうな仕事だな」と思われるかもしれませんが、一方で、リハビリテーションの目標を達成できた患者さんの笑顔を見られるのはもちろんのこと、退院時に感謝の言葉をかけていただけた際には理学療法士の仕事に誇りを感じられます。患者さんだけでなく、その家族とも関わりながら自立支援に貢献できるという仕事だからこその喜びがあります。また、職種を横断した新しい仲間もできることでしょう。

従来であれば想像すらしなかった可能性
医療人としての新たなキャリア形成

臨床教員として病院スタッフの一員として医療に携わりながら、母校に通う学生への講義、臨床実習の手助けをするようになって感じるのは、よく見知った学生が昭和大学を職場として選んでくれるのがとても嬉しいということです。大学在学中だけでなく、附属病院に入職しても学び続ける教育体制が用意されているのは、昭和大学が持つ組織力やスケールメリットのおかげです。

私自身は、研究・学術を継続しながら、理学療法士の社会的地位やその役割についての認知度を向上させたいと考えています。

高校生へ伝えたいこととしては、進学先となる学部を選んだ時点で国家試験と目指すべきゴール・仕事が待ち受けます。専門職大学への受験に大きなプレッシャーを感じるのは当然のことですが、勉強や悩み事で辛い期間があっても高い理想と仲間の存在があれば乗り越えられるはずです。決して途中で諦めないでください。

足の筋力が弱っていれば歩行器を使うなど、患者さんの症状に合わせて日常生活の基本動作に関わる支援を行います
骨折した患者さんの荷重量制限がどれだけ必要なのかを具体的に評価するために必要な平行棒

専門性の高い講義から感じた未来への可能性
クラスメイトとの関係や学習環境にも大満足

入学後に実感したことは、少人数制クラスであることのメリットです。1クラス約40名、同じ志を持つクラスメイトが集まる環境は仲間づくりに最適で、期待と不安が入り交じる入学直後からすでに「支え合う」という雰囲気がありました。患者さんと直接接する理学療法士を目指しているだけあって、親切でコミュニケショーンを大事にする学生ばかりです。

私の場合は、専門性の高い講義内容や実習室で初めて見る機器・装具の数々に圧倒されてからというもの、新しい知識の習得や技術の向上を目指して勉強に打ち込む毎日を過ごしてきましたが、中にはサークル活動と勉強を両立しているクラスメイトもたくさんいて、中高時代とは異なる環境で、自己責任のもとに充実した大学生活を送っています。各々の個性は当然異なりますが、仲間意識を持って一緒に勉強を頑張ろうという気持ちを共有しています。

日常生活活動学の実習では、座学から得た知識をみんなの前で披露しながら、あらゆる症状を評価して治療・介助の改善点を出し合います。どのような治療が合っているのか、患者さんの状態を想定して解決策を見いだす難しさを感じました。また、知識だけでなく先生方の経験から学ぶケースも多く、一回一回の実習を大切に繰り返すように心がけています。

3年次の冬は病院勤務で患者さんを担当する長期実習が始まりますが、病院勤務の前に面談で不安を解消してくれるなど、この大学ならではの面倒見の良さを実感しています。

大学入学だけで慢心せず卒業後に目指すのは
社会から頼りにされる医療のエキスパート

4年間通うことになる大学生活の最後には、国家試験が待ち受けています。そこでは基礎知識の積み重ねはもちろんのこと、自分が経験してきた事柄から見識を広げることが大切なポイントになると考えています。他者に治療意図や方向性をしっかりと伝えられてこそ初めて技量が身についたと言えるのですが、医療に関する知識は非常に奥が深く、個々で異なる症状のすべてを教科書やテキストだけでは覚えきれるものではありません。普段の講義や実習で学んだすべての要素を組み合わせる必要があるため、一人前として成長するのは決して楽な道のりではありませんが、挫けそうになったら医療に携わろうと考えた初心と覚悟を思い出すようにしています。理学療法士は患者の人生に責任を持つと同時に、希望を持たせることもできる有意義な職業ですから、大学での4年間を一瞬たりとも無駄にせず学び続けたいと考えています。

オープンキャンパスなどの機会で受験生の皆さんが植草学園大学を初めて訪れる際は、広大なキャンパスの規模や未知の学習内容に気後れすることがあるかもしれませんが、学習支援・実習環境・頼れるクラスメイトなど、すべてが整っている学校ですので安心してください。私自身も、期待と不安が入り混じった気持ちで入学しましたが、この学校を選んで良かったと心底思っています。あなた自身の選択肢を信じて進めば、きっと道は開けてくれるはずです。

1日のタイムスケジュール

8:00 出勤、患者さんのカルテ情報をチェック
新しい患者さんのリハビリ内容から担当者を割り当てていきます。

8:30 朝礼、リハビリテーション3職種合同のミーティング
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の3職種が集まってチーム間のフォロー体制を確認します。

9:00 入院患者さんのリハビリテーション
症状についての具体的な問診や各種検査・効果測定などを行います。

休憩

13:00 午後のリハビリテーションを開始
午前と同様に、担当になった入院患者さんの問診・検査・測定などを行います。

17:00 カルテ記載、カンファレンス、勉強会への参加
治療や施術に関する内容をカルテに記載。さらに、カンファレンス(症例や試験の情報共有)や勉強会を実施。昭和大学病院では医療安全や感染管理など、さまざまな委員会が立ち上げられています。

18:00 退勤
退勤後は研究会に参加する場合もあります。

昭和大学 保健医療学部 リハビリテーション学科

住所:〒226-8555 神奈川県横浜市緑区十日市場町1865
電話番号:045-985-6500(代表)
募集定員:理学療法学専攻 35名/作業療法学専攻 25名

リハビリ職の夢をかなえた社会人インタビュー 理学療法士編

横田 翔太先輩

医療現場で芽生えたプロフェッショナルとしての自覚
さらなる向上心と曲がらぬ信念で実現した病院の転職

目白大学
保健医療学部
理学療法学科(2014年3月卒業)
国立がん研究センター中央病院勤務 横田 翔太先輩

悩んだ末に見いだすことができた進学先
グループ単位で互いを支え合う学習環境

幼い頃から水泳に打ち込んでいた私自身の経験がきっかけとなり、スポーツでけがをした方や、障がいを負ってしまった方をリハビリで支える理学療法士の仕事を知りました。母が介護福祉士をしており、医療・福祉系の仕事に馴染みがあったことも後押しして、進学時に選択肢の一つとして真剣に考えるようになりました。救急救命士や作業療法士にも関心があり、いろいろ悩みましたが、ご縁があって目白大学の理学療法学科に入学することになりました。

1年次から生理学、解剖学といった高校にはない内容を学び始め、学年が上がるにつれて高度になっていく医療専門科目や、さまざまな実習を通して、理学療法士という仕事の奥深さを理解できるようになっていきました。

理学療法学科の特色としては、グループ学習の機会が多い点が挙げられます。高いモチベーションを持つメンバー同士が学習内容や進度を主体的に決め、グループ全体としての学力・専門技術向上が個人のレベルアップに直結する仕組みになっています。私自身も、定期試験や課題・実習をクリアするために支え合ってきました。とりわけ臨床実習では、資格がない学生であっても問診・検査・測定にあたり、患者さんの信頼に応えなくてはなりません。不安や自信のなさが頭の片隅にありましたが、挫けそうになったときには温かい言葉をかけてくれる先生方に救われました。目白大学のカリキュラムは全般的に厳しい内容ですが、それを乗り越えたからこそ今の私がいると考えています。

国家試験合格は始まりに過ぎません!
就職後に直面したスキルアップの必要性

6期生として卒業した当時(2014年)にはすでに、国家試験対策のノウハウが確立されていました。グループ学習と同様に、みんなが協力しながら得意・不得意分野をカバーし合うという風潮が根付いており、静かで落ち着いた環境にあるキャンパスで安心しながら勉強に専念できました。さらに、充実した講義や実習のおかげもあって、国家試験を突破できたように思います。

その一方で、大学生活全般を振り返ってみると、「とりあえず国家試験に受かる」ことを目的に過ごし、理学療法士として働く意義を深く考える機会は少なかったかもしれません。基礎・基本となる医療知識はしっかり踏まえていたつもりですが、仕事として臨床現場で応用することができるのか、といった不安を抱き続けていたことも事実です。

卒業後に入職した病院では、高度な医療行為を通して専門技術が磨かれただけでなく、同期や先輩スタッフと情報共有することで患者さんを心理面でも支えられる人間性を伸ばすことができました。そんな頃に、がんと闘いながらリハビリを続けている患者さんとの出会いがあり、さらなるスキルアップを目指さなければいけないという決意が芽生えたのです。

治療結果や施術内容をカルテに詳しく記載し、次のリハビリに活かすようにしています
スタッフ全員が、がんに関わる研修を修了し、担当医、担当療法士、看護師など多職種と連携して治療にあたっています

転職後に改めて知った理学療法士の可能性
大切なのは常に学ぶ姿勢を止めないこと

私が選んだスキルアップの手段は、より専門性の高い環境で多種多様な患者さんと寄り添うことで、今までになかった見識を広めるというものでした。資格職とはいっても、転職するには大きな決断が必要でしたが、そもそも医療職を志すことになった信念にかなう選択肢を選び出した結果、現職となる「国立がん研究センター中央病院」の骨軟部腫瘍・リハビリテーション科で働く機会に恵まれました。

皆さんご存知のように、がんは容易に克服できる病気ではありません。それでも、患者さんの希望を最優先に、回復が厳しい状態であっても、望まれる限りは少しでも苦痛を和らげるためのリハビリを続けます。回復される患者さんだけではない現実から、「これが正解だったのか」と自問自答を繰り返しながらつらい思いを抱え込んだ時期もありました。そんなときこそ、同僚と情報を共有したり、初心を忘れないように心がけてきました。

死を待つだけとは決して思わず、希望を持ってもらえるように患者さんと関わる点は、セラピストの要素があるかもしれません。家族にさえ優しく接したことのない気難しい患者さんが、私のリハビリに感動して涙を流されたというエピソードもありました。このように、病院勤務が長くなるほど、仕事に対する魅力を強く感じるようになってきました。これからの目標として、がん患者さんに対するリハビリの重要性を社会全体に広める活動に参加したいと考えています。

想像以上にたくさんある就職先の選択肢
理想像に向かって成長できる特別な仕事

医療職はうれしいことだけでなく、つらい思いをすることも多い仕事です。それでも、退院される患者さんから「ありがとう」と声をかけていただく瞬間は、かけがえのない充実感を得られます。学生時代には、同じ思いを持った仲間たちとの出会いからモチベーションを高め、手本となる先生方から学び取る職業意識を身につけましょう。そして私も同じですが、就職してからも学び続けることで自分自身を高めることのできる奥深い職業だと思います。

理学療法士は、幅広い医療知識とコミュニケーション力をもとにした高い専門性を持つ国家資格職ですから、就職先にはたくさんの選択肢があります。多くの学生がはじめにイメージするスポーツ医療や整形外科を選ぶのも良いのですが、私自身がそうだったように、就職してから道が開かれるケースもあります。社会人になってからも、初心を忘れずに成長したいという気持ちを持ちたいのであれば、理学療法学科は希望とともにチャレンジする価値があります。社会貢献はもちろんのこと、自己研鑽を積んでいきたいという皆さんを応援しています。

1日のタイムスケジュール

8:00 出勤、患者さんの情報をチェック
着替えの時間を考慮して早めに出勤し、予約が入っている患者さんのリハビリ内容を把握しておきます。

8:30 朝礼、診療科別のカンファレンス
朝礼後、すぐに診療科別のカンファレンス(症例・臨床試験等の情報共有)に参加します。

9:00 患者さんのリハビリ
症状についての具体的な問診や、各種検査・効果についての測定を行います。

休憩

13:00 午後の患者さんのリハビリ
午前と同様に、担当になった患者さんの問診・検査・測定を行います。

17:00 カルテ記載、勉強会資料の作成
本日の治療結果や施術内容をカルテに記載。余った時間で勉強会の資料を作成します。

18:00 勉強会に参加
資料をもとにして、最新の医学情報を共有します。場合によっては英語の文献を使用します。

19:00 退勤

勤務先

日本のがん医療の旗艦病院として、患者さん一人ひとりに最適な世界最高レベルの医療を提供する国立がん研究センター中央病院。

目白大学 保健医療学部

住所:〒339-8501 埼玉県さいたま市岩槻区浮谷320
電話番号:048-797-2222(入試課)
募集定員:理学療法学科 85名/作業療法学科 60名/言語聴覚学科 40名